画像一覧 > 経済学全集 第6集(下)経済政策及時事問題 / 福田徳三著



  福田徳三は純粋理論に大きな貢献をなしたばかりでなく、社会政策、経済政策にも深い関心を有していた。この領域での福田の課題の一つが、1923年に襲った関東大震災の後の復興の問題であった。これは、「四 復興経済の原理及若干問題」で扱われている。福田はローントリー (Rowntree, Derek) がヨークで行った雇用調査、失業調査に範をとり、東京の計六個所でこのような職業調査を実行した。福田によれば、動員された学生数は70名に及び、これらの学生とともに福田は震災後のアンケート調査に従事した。毎日の集合時間は、班長が午前六時四十分、一般の班員が四十五分となっており、調査は午後八時半にまで及ぶことがあったという。相当な強行日程であったと推察される。社会政策学会のリサーチ・プログラムを福田は身をもって示したと言えるであろう。(池田幸弘)


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