ギャレット・ドロッパーズ(Droppers, Garret)の『19世紀経済史概要』。これも『経済史の話題と参考文献』がそうであったように、講義用のテキストであり、序文で記されているように、ウイリアムズ・カレッジの講義に依拠したものである。彼は本書でも、1763年、すなわち七年戦争の終結を起点として、経済史の論述を始めている。講義を前提にしているせいか、内容は基本的なものであり、また論述は平易になされている。慶応での講義と同じく、「1763年の商業世界」から始まり、「綿産業の興隆」、「毛織物産業の興隆」と続く。構成の類似は、両大学での講義がほぼ同じ内容のものであったことを推測させる。全35章からなる。なお、タイトル・ページに列挙されている彼の肩書きのうち、「前東京大学教授」はUniversity of Tokyo を「東京大学」と解すれば誤りであろう。(池田幸弘) |
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