画像一覧 > 労働組合論 / 堀江帰一



  鈴木文治らによって1912年結成された友愛会に評議員として参加するなど、堀江帰一は早くから労働運動には強い関心と理解を示していたが、第一次大戦前後における労働運動の大きな高揚のなか、日本で初めてのメーデーが開催された年に本書は刊行された。その序文においては「唯余は…労働組合主義を以て、我国当今の労働問題を解決するの關鍵とするものなり。…聊かにても我国に於ける労働組合主義の発生に視線とするの念を懐き、常に研究に従ひたりき。」との彼の立場が表明されているが、その内容は労働者の団結権から説き起こし、労働組合の役割と組織を詳述してその意義を述べ、さらには労働組合の政治的行動を肯定的に論じるものとなっている。なお、本書は国文堂『社会叢書』として刊行されているが、これは慶応義塾の同人が企画したものであり、滝本誠一の『労働賃金制度の改良案 利益分配法』も同じシリーズとして出版されている。(三島憲之)


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