福田徳三の『経済政策及時事問題』同様、同文館シリーズの中の一冊。本書で問題になっていることの一つが、告知期限(Kundigungsfrist)である。労働者を解雇する場合に、一定の猶予をとってしかる後に、ということになるが、この時代にはそのような告知期限は必ずしも守られてはいなかった。福田が言うように、工場の門に張り紙があって、今日限り解雇ということもあったようである。福田は、告知期限という概念を説明するために、ドイツ留学中のエピソードを持ち出し、下宿屋でのトラブルについて書いている。福田は下宿屋のおばあさんと喧嘩をし、すぐにでも下宿を出たかったのであるが、告知期限の存在によってうまくいかなかったのである。福田が一ヶ月もの間我慢できるはずもなく、彼は一ヵ月分の下宿代を払って出ていったのである。(池田幸弘) |
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