塾で運輸交通と並んで農業経済学を講じていた気賀勘重の『農業政策』。幼少のときに農作業に従事した経験をもつ気賀の経済学体系の中で、農業は特別な位置を占めている。ドイツに留学し、彼の地で学位を取得した気賀は、農業経済学、農学においてもドイツでの事例を紹介し、またドイツの農学のありようを紹介する事に力点を置いている。本書では、アルブレヒト・テーア(Thaer, Albrecht Daniel)、ユスティ・フォン・リービッヒ(Liebig, Freiherr Justusvon)の名前が紹介され、また農業教育の一環としてドイツ各地に存在していた農科大学(Landwirtschaftliche Hochschule)が言及されている。気賀は、これを高等農業学校と訳しているが、農科大学はドイツの農学の発信地として枢要な役割を果たした。農科大学の中には、その後の過程で総合大学(Universitate)に昇格したものもあった。(池田幸弘) |
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