画像一覧 > 日本経済史 : 徳川氏封建制度之経済的説明 / 瀧本誠一著



  還暦を過ぎた年齢で塾に迎えられ、理財科の教壇に立つことになった滝本誠一であったが、その研究・執筆の意欲は全く衰えることなく、かえってますます盛んとなった。本書では塾での講義をもとにして着任一年後に公刊された近世日本経済史の概説的な研究書である。冒頭では「封建制度は徳川時代に於ける総ての史実の骨子である、…就中政治経済上の出来事は徹頭徹尾封建的であって、其之に関する一切の問題は、悉く此の制度の本として解決せざれば、其の真相を捕捉すること能はざるのである」との本書を貫く基本的な視角を示しつつ、封建制度の概念的整理とその東西比較から説き起こし、法・土地制度、幕府・大名の財政状態、貨幣問題、通商政策、道路交通政策、都市の発達、四民の経済状態にそれぞれ言及した後、最後はいかにも滝本らしく「封建時代の経済思想」という章で締めくくられている。なお、滝本は晩年の1930年に本書を増補改訂した上、『日本封建経済史』と改題、再刊行している。(三島憲之)


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