本書は滝本誠一の論文、講演筆記などを収録した論集で、全部で34編が収録されている。その内容は『日本経済叢書』編纂・刊行のきっかけとなった講演筆記「徳川時代の経済思想」を初めとする日本経済思想史にとどまらず、「ラスキンの経済思想」、「マルクスの価値論批評」といった西洋経済思想史、「社会改良論」、「協同組合と社会主義」などの社会思想、さらには「食糧問題」、「米価調節の根本政策」、「将来の対外商業政策」といった当時の現実の社会・経済問題にまで及んでいる。なかでも1901年に経済学協会の例会上でドイツ歴史学派経済学の評価をめぐって展開された、田口卯吉との論争に関する演説筆記は(「付録」として田口の反論の演説筆記も本書に収録されている)、この時期の日本の経済学の状況を知る上でも極めて重要な意味を持っている。(三島憲之) |
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